2009年2月26日木曜日

日本でやっていない事を タイではヤラせる

おそらくどこの会社でも同じなんだろうが、
日本でも面倒くさくてやってない事を
タイではヤラせようとする。


日本人ならできるが、タイ人にはできない。

なぜなら、日本は熟練工ばかりだから。
熟練工ばかりの日本なら、
教えなくてもデキるし、言わなくてもヤル。

しかし、タイでは一から教えなければならない。
だからこそ、
日本でやらない事をタイではヤラなきゃダメなんだろうが、
それを一から構築するのは結構、苦労する。


会社なんてのは、
「コレ、やっておけ!」
と抽象的に指示するだけである。

具体的には、担当者はあらゆる事柄を
自分で考えて構築しなければならない。
新しいモノを作り上げるのは、なかなか大変なのだ。

(海外に工場を作り、稼働させるだけでも大変だから
 俺はタイ法人の支配者Sさんを尊敬していたのだが)



日本で出来ない事をタイでヤラせる他の事例としては、
支配者Sがこんな事も言った、

「ワーカーには、8時間、機械を踏みっぱなしにさせろ!」


こんな事、無理に決まっている。

もし本当にやらせれば、
タイ人ワーカーはすぐに辞めてしまう。

担当ワーカーが辞めたからといって、
後釜を新人に任せるのは危険だ。

新人には、つきっきりで指導しないと心配で
他の事をやってても気が気でない。

新人だろうがベテランだろうが、
部下がミスやらかした場合、
怒られるのは俺なのだ。

日本では、工員たちは機械の操作の合間に
自分で日報をつけたり、材料を取りに行ったりで、
その間に息抜きできたり、目先が変わって疲れが取れる。

日本人には息抜きの時間を与えるけど、
タイ人は8時間、同じ姿勢で機械操作させろ
というのは無理である。

タイではワーカーが辞めないよう、
疲労を軽減できるような工夫が必要だった。
(それでなくても辞めていくんだからね~)

ワーカーは使い捨て、という考え方だと、
熟練工を要する作業をやる会社ではかなり苦労するはず。

もちろん、書くまでもない事だが、
上がアホだと苦労する、という事を言いたいのです。


他にも、日本では機械の点検など年1回しかやらない。
タイでは、毎日やれ、という。

タイをバカにしているとしか思えない。

しかし、指示を無視して点検しないでおくと、
それが原因で不具合が発生した際に

「やっぱりタイは・・・」

と言われるのが目に見えていたから、やらざるを得ない。

もちろん、ヤラないよりはヤル方がいいので、
点検作業を導入したが・・・


そうでなくても、新部門立ち上げは大変なのだ。

くだらない事を次々に俺一人に押し付け、かつ、
俺の足を引っ張るのではなく、
K課長には協力してほしかった。

2009年2月19日木曜日

自らルールを破る課長K

2004年6月の話

日本から常務がやって来て、ミーティング。

この人は、ミーティングでもいい事を言う。
全社で15億円の赤字を出したが、
俺が配属された部門が赤字の80%を占めていると言っていた。

その部門責任者はK課長で、赤字はKのせいだ。
が、常務にはそれが分かってなかった。

そして常務は、
「コスト高の原因であるムダなQCを減らせ」
と指摘した。

俺は賛成だった。

QCとはquality controlの略だが、
アホなK課長はquality checkの略だと思っていて、
「QCが大事」を「検品が大事」と勘違いして
やたらと検品工程を増やしていたのだ。


このKのバカ話を思い出した。
Kの思考回路がよく分かる話だ。

Kはエクセルが分からないので、
いつも情報室のO君にエクセルで計算表の資料を作ってもらっていた。

O君も忙しい身なのでウンザリして、
「今後は自分で作ってください」
と突き放し、仕方なくKは自分で作り始めた。

完成して、Kは自分で仮の数値を入力したが、
思った枠に、数字が現れない。

B1に単価、C1に数量を入力すれば、
D1に金額が表示されるようにしたかったのだが、
D1はブランクのまま。

Kはパソコンが壊れたと思い、
また情報室のO君を呼び、

「おかしいんだ!ココ(D1)に数が出てこねえんだよ!
 ちょっとおかしいから見てくれよ」

とKが言うので、
O君がD1にカーソルを持っていくと、
関数が入ってなかったのだ。

関数が入ってなければ、数値が表示されるワケがない。

Kはバカだから、
そんな仕組みも知らずにせっせと文字だけを入力して
計算表が完成したと思っていたのだ。

これはKの思考回路と一致している。

つまり、自分が決めた項目を、
ホワイトボードに書いたり、口にするだけで
世界は思う通りに動くと思っているのだ。

それがうまく動かないと
「おかしい!壊れてんじゃねえか?」
と他人のせいにする。



このバカK課長は

「経費削減のために、休憩時間はエアコンを切る事」

と決定。また、

「業務時間中も設定温度は20度以上にする事。」


通常、
日本人用の部屋は設定温度を14度にしていたのだが
節電のために20度にするように、との考えだ。


「会議中は禁煙。」


しかし、このK課長はいつも率先してルールを破っていた。

電気点けっぱなし、エアコンつけっ放し(しかも14度)。
会議中もKが率先してタバコに火を点ける。

こんな奴をタイ工場責任者にしたのが悲劇だった。


*金輪際、他人の悪口は書かないでおこうと思っていたが、
このK課長には最初から足を引っ張られたので、
今回だけは書かせていただきます。

2009年2月5日木曜日

「技術は盗め」という日本人はタイには要らない

タイ人はすぐに辞めていく。
だから、日本人的な発想では工場は動かない。

タイに来てまで「技術は盗んで覚えろ」というのは、
教えるのが面倒だから言っているだけの事だ。

旋盤の使い方を「見て覚えろ」、「技は盗め」、
なんて言ってたら、会社は大赤字になるはずだ。

毎日、旋盤を壊すことになってしまう。

高性能な旋盤なら、1台1000万円近いのだ。
壊すと軸がズレたりして、精密加工はできなくなる。

キチンとマニュアルを作り、教え込み、
”ポカよけ”という思考方法を教えこまねば
その会社は潰れてしまうだろう。

日本人とタイ人は違うのだ。

教えないなら、賃金が高い日本人が駐在する必要などない。
教えるだけの技術やノウハウがないなら、
その人はタイでは要らない人間だ。

日本でしっかり技術を身に付け、
それからタイで職を探すくらいでなきゃ、
その人はすぐにタイの会社に居られなくなる。