2008年12月11日木曜日

日本が悪いかタイが悪いか

日本本社もデタラメで、
話が合わない事が多々あった。

マイナーチェンジがあったのにその連絡もない。
それなのに仕様変更前の部品がタイに送られてきたり、
ムチャクチャなので駐在員が怒るのも無理なかった。

日本本社は
「タイが悪い、タイはなっていない」と言い、
タイ側は
「日本がデタラメだからタイでうまく行かないんだ」
とお互いに陰口を叩いていた。

日本は確かにデタラメで、
試作品を造り、数%の確率であっても良品が出来れば、
タイに投げるという汚いやり方だった。


受注するために仕方ない事だとは思うが、
代わりに全力でタイ工場をバックアップする義務がある。

しかし現実には、「丸投げ→知らんぷり」なので、
皆、タイ駐在を命じられるのを嫌がっていた。


俺は日本に大勢仲間が居たので、タイに居ても、
開発中の新モデルの情報も俺のところには筒抜けだった。
だから日本での試作の歩留まり率まで分かっていた。

「こんな低い歩留まりなのに、タイで量産させるのかよ?」

ということはザラだったが、
かと言ってそれを上司に言うこともできない。

日本に居る情報提供者が誰だかバレてしまい、
彼らの立場が悪くなるからだ。


たった一人で改善努力しても
どうにもならない事って、たくさんある。

会社が大きくなればなるほど、そうだ。


また、
タイ工場がうまく回るように体制を構築するべき権力ある人が、
道が混む前にと定時前にサッサと帰るのだから
下っ端駐在員にはどうしようもない事だけど、
タイ工場にもマズイ点は多々ある。

一言に要約すれば、「日本人が悪い」
という事になろうか。

2008年12月4日木曜日

日本との違いには、こういう例もある

通勤に関して、こういう問題もある。


金属を加工するため、なまし炉を使う作業があった。

炉は、火を点けてすぐに温度が上がるわけではないので、
作業開始の1時間前くらいに火を点ける必要がある。

日本では、早番の時間差出勤制度があり、
早番の一人が火を点けて回っていた。

しかし、タイでは皆、会社のバスで集団出勤。
一人だけ早番など、不可能なのだ。

かといって、俺が早番に回る事もできない。
そんな作業は俺も嫌だし、
俺も駐在員用のロットトゥーで集団出勤だからだ。


考えてもいいアイデアが出なかったし、
ワーカーの出勤バスも始業ギリギリに着くわけではなく、
30分前には着いているのが普通なので
リーダーに火を点けて回らせる事で対応させた。

それでも、始業と同時に作業にかかれず、
ほんの数分ながら、食い込んでしまう。

机上の空論だけ言ってる本社の人には
こういう細かい苦労が分からないから大変だ。

2008年11月27日木曜日

コスト削減で残業を減らすほど運営が苦しくなる

日本本社の設定した仕切りが厳しいとは言え、
当時のタイ現地法人は毎月・毎年、赤字を垂れ流していた。

よって、経費削減が至上命題となり、
ワーカーの残業代もその対象となった。

が、タイ人ワーカーは残業(OT)したくてたまらない。
OTが少ないと、生活が苦しくなって辞めてしまう。

会社には痛し痒しである。


ワーカーは、8:15~17:15までが定時。

そしてOTは、17:50~20:00が1発目。
さらにOTする場合は20:10~23:00。

俺がタイに戻った当初、
23:00までのOTが当たり前だった。

そして、多くのワーカーたちは
23時までの残業をこなした翌日も、
7:30頃には出勤してきている。

ざっと計算しても、
ほとんど寝ていないんじゃないか、と思う。

会社の通勤用バス(*)があるが、
アレに乗るために朝5:30に起きているワーカーが多かった。

*バンコクの中心地でもたまに見かけるが、
派手な塗装の大型バスで、
運転手が音楽を大音量で鳴らしているアレだ。


で、23:00すぎのバスに乗って帰途につき、
1時間かけて家に着くと、0:00。
水浴びしてすぐに寝ても、0:30だ。

ゆっくり家で寝る時間が5時間、
通勤のバス内で寝る時間が往復1時間。

ま、これなら寝不足ということはないかな~?
会社から10分くらいの安アパート街もあり、
そこの住人ならもっと楽だけどね。

(作業しながら寝ているワーカーもよく見かけたな~
 作業中、立った状態のまま寝るからスゴイんだよ)


でも、俺の部下には、
片道1時間以上かけて通勤するワーカーが多かったので、
なんとかいい暮らしができるようにしてやりたかった。

残業すればするほど身体はきついだろうけど、
それでも彼らは残業代が欲しいのだ。


だから、赤字対策でOTを減らすことについては、
俺は否定的だった。

OTを減らすために、従業員を増やすのだから、
福利厚生費が増え、赤字対策としての効果もないからだ。


人件費を減らすにも、その方法がポイントなのだ。

人を増やすと単純に経費が増えるし、
ギリギリの人数で回そうとすると、罠にはまる。

例えば、突然休んだりすることは多いし、
男なら数ヶ月間、出家する事もある。

そうでなくても、辞められたら終わりで、
新人を雇ってまた一から教えなければならない。


なかなか難しい問題で、
アチラを立てればコチラが立たず、
だが、総合的見地で真剣に考える人がいないのが
会社にとっての悲劇だったと言える。

権力ある人は怒鳴るだけだし、
権力ない人がいくら提案しても、上司は馬耳東風。
我々下っ端のほとんどはタイ語が話せないし、
通訳もいないので、抜本的改善など夢の話。
”カイゼン”どころか問題に追われる毎日だった。


ちなみに、タイに来たばかりの日本人が驚く事に、
定時のチャイムが鳴ると、タイ人ワーカーたちは
やりかけの仕事があっても即、手を止めて、
サッサと帰ってしまう、というのがある。

無知な日本人には理解しにくいようだが、
上記の通勤バスに遅れると家に帰れないから、
というのが理由の一つだ。

乗り遅れたワーカーは置いて行かれてしまうのだ。

こういう点を理解してあげないと、
うまくタイ人を使うことはできないと思う。

また、なんでサービス残業しなきゃダメなの?
という意識もあるはずだ。


副業を持っているタイ人も多い。
彼らには、会社で働く事が生活の中心ではないのだ。

2008年10月23日木曜日

未払い給料を受け取ってタイ株投資のタネ銭に

さて、初日の夕方。

日本語が話せるタイ人幹部Nさんに呼ばれてオフィスに行くと、
たまりにたまっていた給料を払ってくれた。

6月から11月までの6ヶ月分の給料を
まとめてタイバーツで払ってくれたのだ。

その額、42万バーツ。(7万×6ヶ月)
日本で研修の間は、会社の寮にいたから
住宅手当は払われないからだね。


タイ株投資を2004年5月から始めたのは、
この金がタネ銭になった。

ちなみに毎夜、会社を出るのは夜9~10時頃。
土曜日もほとんど出勤なので、
SEAMICO証券に行く暇などなかったのだ。


赴任5ヶ月後の初めてのソンクラン休暇の初日、
同僚O君に強く誘われて
3回目のアンコールワットへの旅に行ったのだが、
空港に行く前にシーロムまで行き、口座を開いたのだ。

以後、パスワード等の連絡メール待ち、
SCBのネット入金の設定待ち、
画面の操作方法の確認などで1ヶ月経った後、
満を持して買付始めたのが約6週間後だった。

もし、
日本に居る間に日本円で給料をもらっていたら
タイ株投資はやっていなかったかもしれない。

毎月の給料から少しづつ貯金して、
まとまった金額になってから投資するなど、
タイに居たら無理だった可能性大だからね(*`艸´)ウシシシ
(理由はもちろん、遊びで散財するから)


とにかく、会社は給料を払ってくれた。
忘れられていたのではなかった、と
一応の確認ができ、会社には感謝した。

2008年10月9日木曜日

タイで就職する人へのアドバイス

「微笑みの国タイでの就職日記」の
タオさんのコラート時代は、
英語でリーダーたちとやりとりすることが多かったそうだ。

だが、俺の会社には、オフィスにいる”自称エリート”でも
英語を話せるタイ人なんて、一人も居なかった。


タイ語会話は、タイに滞在し、タイで働いてれば
ある程度まで上達する(それなりの努力も必要だが)。

しかし、読み書きが出来るという能力は、
読者が思っている以上に役に立つ。


タイ人は、リーダーやスーパーバイザーという役職でも、
簡単に会社を休む。

そういう場合でも、我々日本人は管理職であるから、
リーダーが休んでいようが、通訳が居なかろうが、
必要であれば、日本人と話した経験がないような
一般ワーカーに直接指示しなければならない。

が、一般人にはなかなか日本人のタイ語は通じないし、
通じても、忘れられたり、後になって
「あの人の話すタイ語、分からなかった」
と、”やらなかった・できなかった”言い訳をされる。

ところが、文字を書いて指示すれば、
「分からない」なんて言い訳ができなくなるのだ。

タイ人には、タイ語を書けない奴も多いが、
タイ語を読めない奴はほとんど居ない。

的確に指示することが可能になり、
ISO漬けの会社でなくてもメリットは大だ。


それ以外でも、タイ語が読めれば
旅行の際などに抜群の威力を発揮する。

ソンテウ移動しか手段がない地方に旅行する際も
文字を読めれば、誰かに尋ねることなく、
正しいソンテウに乗れる。
(嘘つかれて違うソンテウに乗るリスクがない)

田舎から田舎への移動は、
ロットトゥワなどがない場合も多く、
ソンテウ移動がメインの場合が多いのだ。


また、バンコク市内でバスに乗る際も、
途中までしか行かないバスや、
すぐに高速道路に乗って途中をハショるバスは多い。

こういうバスは、必ずフロントガラスに
タイ語で書いた赤い札を表示している。


タイで”外こもり(沈没)”するだけの人なら
飽きたら日本に帰ればいい。

だが、
タイで働きたい人、既に働いている人は、
遊びの合間にでもタイ文字を勉強するべきだ。

それが嫌なら、
そもそもタイになど行かない方がいい。


そういう人は、”タイで働きたい”ではなく、

「タイに住んで遊びたい。
 そのために仕方なくタイで働く」

という、本末転倒な発想だろうから、
せいぜい数年しか保たないだろう。


そして、挫折して日本に帰ることになった時に
「無駄な数年間を過ごした」
と気付くだろうが、覆水盆に帰らずである。

無駄な時間だったのではなく、
努力しなかっただけ、
という事にすら、気付かないかもしれない。